症状指先にボールが当たってから第一関節が伸びない、内出血が出た

「突き指」は、その名の通りボールや物で指を突いて、指先に大きな力が加わることによって起こる指の怪我の総称として広く一般的に用いられています。
指の腫れや痛み、動かしにくさなどの症状がありますが、放っておけばそのうち治ると軽く考えられがちです。しかし「突き指」には、骨折や脱臼、腱や靭帯の断裂などが含まれており、中にはすぐに手術が必要なこともあります。
早期に正しく診断されないと、適切な治療の時期を逃すこともあります。第1関節関節が曲がったままで痛みや腫れがあり、自分で伸ばそうと思っても伸びません。しかし、反対(健側)の手で曲がった指を伸ばしたときはまっすぐ伸びます。ですが、手を離すとまた曲がってしまいます。

原因と病態末節骨の裂離骨折

指先に物が当たった後に、指の遠位指節間関節(以下、DIP関節)が完全に伸ばしきれず、曲がったままとなる変形を槌指(mallet finger)といいます。

この変形は、終止伸腱と未節骨との連続性が失われた結果生じます。スポーツでは、野球などの球技で発生しやすく、別名“baseball finger”ともいわれています。スポーツ外傷での発症は、青・中年の男性に多く、環指・小指・中指・示指・母指の順に発生頻度が高いとの報告されています。
突き指の一種で、ボールなどが指先に当ったときなどに起こります。骨性マレットフィンガーには2つのタイプがあります。次の図のⅡ型、Ⅲ型になります。

Ⅰ型は指を伸ばす伸筋腱が切れたために生じるもので、腱性マレットフィンガーと言います。

治療と予防固定期間は約5~6週間、手術しても同じ

病態や受傷後の経過期間によって治療法は異なります。
腱性・骨性マレットフィンガーでは、共に装具療法などの保存的療法が行われます。
骨性の場合、骨折部分が3mm以内、末節骨骨片が関節面の1/3以内、DIP関節の掌側亜脱臼を伴わない症例であれば保存療法が可能です。
一般的な、固定方法や手術の仕方は次の図で示したものになります。

ですが、解剖学的に考えた際に、終止伸腱を緩ませながら固定をしなければ、骨片を引っ張ってしまうのでDIP関節を完全に伸ばした固定方法は最適な固定方法ではないと考えます。
当院では、次の固定方法で行います。

MP関節、PIP関節を90°屈曲位で、DIP関節を完全伸展位でオルフィット固定をします。このオルフィットを掌側(手のひら側)にすることによって、固定する際に気をつけなければならない褥瘡を防ぐことができます。
固定期間は腱性マレットフィンガは約6~8週間、骨性マレットフィンガーは約5~6週間と、腱性マレットフィンガーの方が固定期間が長い傾向にあります。その違いは血流の関係です。受傷によって内出血が起こりやすいのが骨性で、出血量が多い骨折の方が腱断裂よりも修復力があります。
また固定除去後、患部(切れた腱の部分・骨折した部分)は修復に伴って仮性延長し、完全伸展した際に少しDIP関節は曲がったままになってしまします。これは手術しても同じです。固定が困難な方は手術療法になります。
※終止伸腱が1mm延長するだけでDIP関節が25°伸展不良を起こすとされています。
「突き指」を軽く考えず、接骨院を受診し、超音波検査などによる正しい診断と適切な治療を受けることをお勧めします。

突き指をしてしまった方は、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。

施術事例右中指末節骨骨折(マレットフィンガーⅢ型)

ソフトボール中、捕球時に指をついて受傷されました。2日後近医を受診し手術を勧められましたが保存療法を希望されたため、整復・固定をした。

こちらが、レントゲンの経過写真になります。
固定は6週間で除去できました。

外観写真はこのような感じです。
経過8週間後でもDIP関節軽度屈曲位ですが、良好な成績を収められました。

他院で手術と言われても、マレットフィンガーに関しては整復位をしっかり固定期間中保てれば、保存療法で治すことができます。