症状第1関節が伸ばせない

「突き指」は、その名の通りボールや物で指を突いて、指先に大きな力が加わることによって起こる指の怪我の総称として広く一般的に用いられています。
指の腫れや痛み、動かしにくさなどの症状がありますが、放っておけばそのうち治ると軽く考えられがちです。しかし「突き指」には、骨折や脱臼、腱や靭帯の断裂などが含まれており、中にはすぐに手術が必要なこともあります。
早期に正しく診断されないと、適切な治療の時期を逃すこともあります。第1関節が曲がったままで痛みや腫れがあり、自分で伸ばそうと思っても伸びません。しかし、反対(健側)の手で曲がった指を伸ばしたときはまっすぐ伸びます。ですが、手を離すとまた曲がってしまいます。

原因と病態第一関節を伸ばすための終止伸腱が断裂する

指先に物が当たった後に、指の遠位指節間関節(以下、DIP関節)が完全に伸ばしきれず、曲がったままとなる変形を槌指(mallet finger)といいます。

突き指の一種で、ボールなどが指先に当ったときなどに起こり、大きく2つのタイプに分かれます。
1つは指を伸ばす伸筋腱が切れたために生じるもので、腱性マレットフィンガーと言います。もう1つは、DIPの関節内の骨折が生じ、伸筋腱がついている骨が関節内骨折を起こしてずれた状態になったもので、骨性マレットフィンガーと呼びます。

この変形は、終止伸腱と未節骨との連続性が失われた結果生じます。スポーツでは、野球などの球技で発生しやすく、別名“baseball finger”ともいわれています。スポーツ外傷での発症は、青・中年の男性に多く、環指・小指・中指・示指・母指の順に発生頻度が高いとの報告されています。
突き指の一種で、ボールなどが指先に当ったときなどに起こります。腱性マレットフィンガーは、次の図のⅠ型になります。

治療と予防約6〜8週間固定しっぱなし(外すことができません)

病態や受傷後の経過期間によって治療法は異なります。
腱性・骨性マレットフィンガーでは、共に装具療法などの保存的療法が行われます。

固定期間は腱性マレットフィンガーは約6~8週間骨性マレットフィンガー約5~6週間と、腱性マレットフィンガーの方が固定期間が長い傾向にあります。その違いは血流の関係です。受傷によって内出血が起こりやすいのが骨性で、出血量が多い骨折の方が腱断裂よりも修復力があります。また固定除去後、患部(切れた腱の部分)は修復に伴って仮性延長し、完全伸展した際に少しDIP関節は曲がったままになってしまします。これは手術しても同じです。固定が困難な方は手術療法になります。
※終止伸腱が1mm延長するだけでDIP関節が25°伸展不良を起こすとされています。
受傷後4週間以上経過した陳旧性マレットフィンガーでは、DIP関節の屈曲拘縮が伴うことが多く、尚且つ腱性マレットフィンガーの陳旧例では、断裂した終止伸腱の中枢断端が側索と共に中枢に退縮し、結果的に中央索を中枢方向に牽引するため、PIP関節が過伸展位になります。このDIP関節屈曲位、PIP関節過伸展位の肢位を「スワンネック変形」と呼び、退縮した伸筋腱が滑動性を失って中節骨背側と癒着してしまい、手の付けようがなくなってしまう場合もあります。

ですので、「突き指」を軽く考えず、受傷したらすぐに接骨院や整形外科を受診し、超音波検査などによる正しい診断と適切な治療を受けることをお勧めします。

突き指をしてしまった方は、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。