症状歩いたり筋肉が伸ばされると痛い、内出血がある

典型的なものはスポーツをしている時に発生します。主にふくらはぎの内側の中央上部(上中1/3部)に痛みが生じますが、時に太ももの裏(ハムストリングス)に生じることもあります。体重をかけると痛むため通常の歩行が出来なくなり、びっこを引く歩き方になります。
症状は、腓腹筋の損傷部に一致した圧痛とその周囲の腫脹、歩行時痛(特に踵を地面に着ける際)や足関節背屈時(つま先を上に向ける)に疼痛が誘発されます。また、時間経過と共に皮下出血(内出血)が出現します。

一般的に前方への蹴り出しや垂直ジャンプをした時に損傷が多いため、好発部位は腓腹筋とアキレス腱移行部の近くでやや内側に多いと報告されています。
従って、圧痛点や疼痛も下腿三頭筋とアキレス腱移行部付近のやや内側にみられることが多くなります。

エコー検査では、腓腹筋とヒラメ筋の間に介在する筋膜部分 (筋線維が付着する)に、断裂を示唆する低エコー領域(内出血の範囲)の出現が描出されます。また、負傷初期は時間経過と共に出血による血腫が広がる様子がみられます。この腓腹筋の損傷は、膝関節が硬くなり、膝をいっぱいに伸ばしてもやや曲がった姿勢になってしまうタイプも方に起こりやすい傾向があります。また、足関節が硬くなり背屈動作がしにくくなった場合も起こりやすい傾向がありますが、こちらはアキレス腱の炎症や断裂の方が多くなります。いずれにしても膝関節や足関節の柔軟性を高めることが、予防の観点からも重要といえます。

原因と病態筋肉の柔軟性の低下、衰え、血流不足

一般に中高年に多いとされ、その要因として、筋肉の反応時間の遅延、筋肉の柔軟性の低下、筋・腱の血流の減少、また何らかの組織変化があげられます。 運動時の体重移動の際に、足関節が背屈した姿勢から身体を前方へ移動するために、その脚で地面を蹴り出すとき、膝関節が伸びることでふくらはぎの筋肉が過伸張します。この動作の勢いが強かったり、ふくらはぎの最大限に伸びる範囲を超える張力が加わって、筋線維の断裂を生じます。

一般的に前方に向かって地面を蹴るときやジャンプするときは、最後に地面から離れるのが母趾になります。その時に、足関節は外反+底屈の状態となるため、腓腹筋内側頭やヒラメ筋の内側が強く引き伸ばされます。

従って前方及び重直ジャンプ型の損傷では、腓腹筋内側頭のアキレス腱移行部やヒラメ筋内側の腱移行部に損傷が起こりやすくなります。

一方、横方向へ蹴り出すときや後方に伸び上がるときは、踵の外側に重心を置いて腓腹筋やヒラメ筋が伸ばされます。その時に、足関節は内反+背屈の状態となるため、腓腹筋の外側頭やヒラメ筋の外側の寄りが強く引き伸ばされます。

従って、側方及び後方ジャンプ型の損傷では、腓腹筋外側頭のアキレス腱移行部ヒラメ筋外側の腱移行部に損傷が起こりやすくなります。打撲などの打撃により起こる場合は、足関節背屈位、膝関節伸展位の体勢でふくらはぎの筋肉が伸びきったときに、そのタイミングで打撃を受けることで筋肉の反射的収縮が起こり、ふくらはぎの筋肉は過剰な張力が生じることとなり筋線維の断裂を生じます。この場合、打撃を受けた部分に近い筋腹や筋腱移行部に損傷を生じます。

治療と予防2〜3週間の安静、完治まで3〜4ヶ月必要

通常は約2週間から3週間は包帯 ・副子固定を行います。
損傷部位は、損傷部分の出血により血腫ができます。その血液が線維化して固まり、のちに瘢痕組織(かさぶた)を形成していきます。この瘢痕組織により傷ついた筋組織が仮修復されます。その後、数ヶ月かけて瘢痕組織が筋組織に入れ替わっていきます。従って、固定期間はこの瘢痕組織による仮修復が完了する3週間前後が目安となります。また、リハビリ期間は瘢痕組織が筋組織に入れ替わって、ほぼ正常な可動域と筋力に戻った状態まで回復するまでに3〜4ヶ月程度要します。この瘢浪組織は、患部を触るとシコリとして触知することができ、このシコリが無くなるのが完治の目安となります。また、エコー検査では黒く描写される低エコー領域(内出血の部分)が消失することで、瘢痕組織がほぼ筋組織に変換されたと判断できます。

肉離れを起こしてしまった方、また肉離れを起こしてそのままリハビリをせずいる方は再受傷しないように治療をオススメするので、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。