症状寝ていて朝方に肩が激痛で起きる

夜間〜朝方に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まる事が多いです。痛みで睡眠が妨げられ、関節を動かすことが痛すぎて出来なくなります。また肩に熱感や腫れが出る場合もあります。
発症〜1週は強い症状を呈する急性期、中等度の症状が1週後〜3ヶ月続く亜急性期、運動時痛などが6ヵ月以上続く慢性期があります。
症状の経過と時期については図をご覧ください。

原因と病態肩に石灰が溜まり白血球が溶かすときの炎症

4050歳代の女性に多くみられます。
閉経や加齢あるいは若年であっても骨吸収増大などによるカルシウム代謝の急激な変化があり、肩峰下での機械的な圧迫により腱板組織の栄養血管が減少し、低還流状態・低酸素状態にさらされます。このとき、膠原線維の萎縮・細胞成分の減少が生じます。変性した組織のなかでは細胞のCO2産生が停止し、酸・塩基平衡が崩れ、アルカリ性となります。
正常では溶かされるべきカルシウム塩が析出・沈着してくることによって石灰が生じると報告されています。そこへ、マクロファージ(白血球の1種)などの免疫細胞が出現し、沈着物(石灰)を溶解吸収し炎症を起こします。これが急性期の腱板炎による痛みと考えられています。 
石灰か腱板内に発生した場合のエコー画像は、このように写ります。

石灰沈着性腱炎は、肩関節で発生するものが代表的ですが、身体のあらゆる関節部分に発生する場合もあります。

治療と予防急性期は安静、それからは運動療法

急性例では、激痛を早く取るために、三角巾あるいはアームスリングなどで安静を計ります。

痛みの軽減が見られない場合は、整形外科で腱板に針を刺して沈着した石灰をる、石灰吸引療法がよく行われています。また、消炎鎮痛剤の内服、ステロイド注射などが有効です。
ほとんどの場合、保存療法で軽快しますが、亜急性型、慢性型では、石灰沈着が石膏状に固くなり、時々強い痛みが再発することもあります。
当院では微弱電流(エレサス)で急性症状や炎症を抑え、痛みの軽減を計ります。
痛みが軽減したら、マッサージに加え温熱療法(ホットパック、入浴など)や運動療法(拘縮予防や筋肉の強化)などのリハビリを行います。
何よりも「肩関節拘縮」にならないように治療することが大切です。

特に前日は特に何もなかったが、夜寝ていて朝方急に肩に激痛が起こってしまった場合は、石灰沈着性腱炎が疑われるので、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。