症状肩が痛くてボールを投げられない

小学生高学年から中学生の時期に、野球などのボールを投げるスポーツで生じる肩痛の原因の一つです。上腕骨近位(肩側)の骨端線という成長軟骨の部分が、投球動作によってかかる負担により、離開してきます。

1球の全力投球によって骨端線離開が起こる場合もあります。日常生活には支障がないことが多く、見かけ上は可動域制限もありません。なので様子をみる場合が多いですが、投球動作によって肩に痛みが出た場合、約8割がこの疾患になっていることが多いです。当院では、野球肩に対してエコー検査を行い、骨端線離開の有無を確認することができます。

健側より骨端線部分が1mm以上開いている場合は、基本的に骨端線離開(骨折)になっていると判断します。

原因と病態骨端線(成長軟骨)の離開(骨折)が原因

子ども(成長期)の骨には、骨端線という骨が成長する軟骨があります。成長期で特に急激に骨が伸びる時期は、軟骨部分の結合が弱くなります。男性で17~18歳、女性で15~16歳に多くみられます。繰り返しの投球動作により、軟骨部分が離開して痛みを生じます。骨端線離開は、いわゆる骨折です。肩を捻る動作で痛みを訴え、痛い部分に圧痛(押して痛い)を認めるのが特徴です。
肩部のエコー検査を行うと、骨端線部分の離開が健側と比べて確認でき、エコー検査の中の一つであるカラードプラ機能を使うと、患側の骨端線部分で血流の動態が確認できます。健側では血流の動態は確認できません。骨折(骨端線離開)になると微小な出血が発生し、通常では血流が確認できないところに、反応があると骨端線離開(骨折)の可能性が十分にあるということになります。


病院でレントゲン検査を行うと、病態が明確になります。骨端線損傷はソルターハリスの分類によって治癒期間に違いが出てきます。

Ⅰ型:骨端線外側部の脱灰・不正像
Ⅱ型:骨端線の開大
Ⅲ型:上腕骨頭の内反・すべり
※早期に発見できた場合のほとんどがⅠ型です。痛みを我慢して投げれば投げるほどⅡ型〜Ⅲ型へと移行してしまう恐れもあるので、注意が必要です。

実際のレントゲン画像はこのようになります。この症例のソルターハリスの分類ではⅢ型に分類されます。

治療と予防完治するまでおおよそ3ヶ月、投球指導が必要

患部(成長軟骨)が完治するまでおおよそ3ヶ月かかります。なので投球を3ヶ月ほど休止しなければなりません。治療は患部だけではなく肩関節周りの柔軟性を高めたり、背骨の可動域を広げることも行なっていきます。また当院では、治療だけではなく、投球指導も治療と並行して行なっていきます(別途投球指導料金が発生します)。投球指導では当院のトレーニングルームにて、野球医学に基づいた座学と実技を行います(1~2日/週)。なぜこの動きをしないといけないのかなど、体全体に意識しながらフォーム改善をしていくことで、体に無理な負担なく、綺麗なフォームで理想のボールが投げられるようになり、怪我をした以前より復帰後の方が良い球が投げられるようになります。この投球指導で学ぶ体の動かし方が再発予防になります。投球指導プログラムが終了すると共に競技復帰ができる時期になってきます。なので、投球ができないからといって休んでいる間はありません。


投球開始時期の決定にはエコー検査を行います。骨折(骨端線離開)部分で確認できたカラードプラでの血流の動態が消失していて、圧痛も同時になければ完治とみなし、スポーツ完全復帰となります。

野球をしていて投球時に肩に違和感や痛みを感じた方は、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。

※骨折(骨端線離開を含む)は医師の同意の元、接骨院で治療ができます。当院の提携している整形外科にご紹介致します。