症状ボールを投げると肘の内側が痛い

成長期にボールを投げ過ぎることによって生じる肘の傷害を野球肘といいます。
1回の投球で痛みが強く出現し、肘の伸びや曲がりが悪くなり、急に動かせなくなることもあります。
肘の内側の骨の部分(内側上顆)に触れたり、外反動作をすると痛みが生じます。

原因と病態投球フォームの乱れ、オーバーユース

繰り返しボールを投げることによって起こる肘関節の外反動作により、内側側副靭帯の牽引作用が過剰となることで起こります。

成長期(主に小学生〜中学生)に投球をしていて痛みが出た場合、内側側副靭帯の損傷よりも、靭帯がついている上腕骨内側上顆部での裂離骨折の場合がほとんどです。
上腕骨内側上顆部で裂離骨折起こった場合のエコー画像ではこのように描出されます。

赤い丸で囲ったところが、分離(裂離骨折)しているところになります。
この画像が描出された場合、骨折が疑わしいので病院へ紹介させて頂き、確定診断を受ける必要があります。
病院でレントゲン撮影するとこのような写真になります。

レントゲン画像では、エコー画像で確認した分離部と同じ場所に骨折線が確認できます。

治療と予防投球禁止、固定、投球指導が必須

治療は、第一に投球の中止が重要で、患部の安静を目的に外固定を2週間程度行います。
概ね、投球禁止を2ヶ月間、その後投球制限1.8ヶ月間続けます。治療開始から6ヶ月以内に骨癒合を認めるのは約73%と報告されています。
当院では、骨癒合促進器(オステオトロン)を行い、早期骨癒合を目指します。
レントゲン撮影は定期的に病院へ行って頂き、骨折部の状態を確認させて頂きます。

症状に応じて外固定から簡易固定(包帯など)に移行し、手技療法や電気治療、運動療法を実施していきます。個人に合わせた投球プログラムに沿って投球指導を実施していきます。
当院での投球指導は、投球制限をかけている間にも投球フォームの指導(特に下半身・体幹の動き)をしていきます。電気を当てて患部の痛みを取り、骨癒合させるのが治療ではありません。最大の治療は、自身の投球フォームを見直し、自身の持っている身体で大きく余す力なくボールにその勢いを伝える身体の使い方を習得することです。それができれば再発することなくスポーツを続けることができます。
投球指導は、野球医学に基づいた指導になるので、親御さんも勉強になるかと思います。
野球の練習中や試合中問わず、投球側の肘に内側に僅かな痛みが出た場合でもすぐに投球を禁止してください。

当院ではエコー検査ができ、いち早く病態を確認することができますので、野球肘の症状でお悩みの方は、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。
※骨折は医師の同意の元、接骨院で治療ができます。提携している整形外科にご紹介致します。
※痛みを我慢して投球を続けていると症状が悪化して、場合によっては手術が必要になるケースもありますので、注意が必要です。