症状急に踵が痛くなった

活発に運動をはじめる9〜14歳(小学校高学年から中学生)頃の男児に多く発症します。
明らかな外傷歴がなく運動時や歩行時の踵部痛を訴え、活動レベルが上がるとさらに運動時痛が増強するとともに踵部の安静時痛を生じることもあります。後足部痛が強く尖足位(足関節底屈位)を呈するものまで疼痛の程度はさまざまです。

原因と病態アキレス腱や足底腱膜による踵骨骨端核の障害

踵部の後方(骨端核)に痛みが起こりますが、骨端線閉鎖後に踵骨が変形することなく、予後良好な小児期の骨端症でシーバー病と呼ばれています。
ジャンプや長時間のランニングが誘因と考えられており、種目としてはサッカーで多くみられます。また素足で競技を行う剣道や体操選手にも多くみられます。
踵骨の骨突起後方(骨端核)にはアキレス腱が、下面には足底腱膜が付着しています。さらに短趾屈筋などの足底の筋も付着しており、これらの筋・腱からの牽引力が常に作用していると考えられます。踵骨骨端核は、踵骨に癒合するまでは力学的に脆弱であり、圧迫などの直接外力のみならず、これらアキレス腱足底腱膜牽引力により障害(骨端核の骨硬化と分節化)を生じやすい状態にあります。

シーバー病は、骨端症の中でも無腐性壊死ではなく、腱付着部における正常の骨軟骨の成長過程が障害された結果生じる骨化異常であると報告されています。
エコー検査では、このように描出されます。

個人差はありますが12〜15歳までに徐々に骨癒合していきます。

治療と予防アキレス腱のストレッチが重要、足底板で再発予防

下腿三頭筋を含めた足関節底屈筋群をストレッチすることや、足底板療法(インソール)による治療が一般的です。

また温熱療法やマッサージに加え超音波を行っていき、再発予防を行っていきます。
通常、安静や運動制限を主とした保存療法で対応できます。踵部の衝撃吸収性に優れた靴を履くように指導することも大切です。急性期の痛みの強い時期には、短下肢ギプスを施し免荷(体重をかけない)させることも効果的です。急性期の症状は約2週間程度で消失することが多いです。
装具療法(ギプスや足底板療法)の後は、温熱療法や下腿三頭筋、足底腱膜のストレッチを指導します。スポーツ復帰に関しては、症状が再発しないように、踵部に強い牽引力が作用する動作や衝撃の加わる動作は徐々に開始させていきます。

お子さんが急に踵の痛みを訴えたらシーバー病が疑わしいので、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。