症状足首を内側に捻ったら、外くるぶしが痛い

足関節捻挫のほとんどは、足関節を内側に捻って生じます。このことを内反捻挫といいます。内反捻挫の場合、大半は足関節外側の靭帯(前距腓靱帯)が損傷します。前距腓靱帯が損傷すると、外くるぶし(外果)の前方や下方に痛みが出現し、腫れが出てきて押さえると痛みます。
足関節の外側靱帯は、一番損傷を起こしやすい「前距腓靱帯」と、さらに「後距腓靱帯」「踵腓靱帯」の3つの靱帯ことを指します。

軽度な捻挫では、 受傷直後は疼痛による破行(びっこをひく)が起こるが、体重をかけても大丈夫なときが多いです。しかし、高度な捻挫では、軟部組織損傷の範囲が広がり、しばしば体重がかけられず歩くことが困難となる場合があります。皮下出血のために腫脹と皮膚色調の変化が現れ、局所の圧迫固定と足を高くしたり、アイシングなどの初期治療が行われないと、炎症のためにさらに腫脹や発赤、疼痛がひどくなる場合があります。

原因と病態足部の内返し強制により靭帯損傷が起こる

スポーツなどのほかに、歩行時でも段差などで足を捻り、受傷することがあります。
多くの場合は足の外側縁で着地し、足底が上方を向く足部の内返し捻挫(踵骨の回外内旋制限)によって起こる外側靱帯損傷です。

段差を踏み外したりして起こる内返し捻挫では、受傷エネルギーは小さく、損傷の程度も軽いことが多いですが、スポーツ中に起こる高速タックルや、交通事故での受傷では損傷の程度は重くなることが多いです。
捻挫とは、関節の最大可動範囲を超えて関節が捻られたり、本来いかない方向に関節が捻られることによって起こる関節包や靱帯の損傷で、骨折や脱臼を伴わないものをいいます。
靱帯損傷の程度により
Grade Ⅰ :靭帯の過伸展状態で腫脹や痛みは軽度であり、機能的障害や機械的不安定性がないもの
Grade Ⅱ :靭帯の部分断裂で、中等度の腫れと痛みが あり圧痛を伴うもの
Grade Ⅲ:靱帯の完全断裂で、著明な腫脹と疼痛や圧痛があり、機能障害や機械的不安定性があるもの
と区別されていますが、手術で観察をしない限り明確に診断することは困難で、この分類は概念的分類といえます。

足首を捻挫して、撮影したエコー画像です。

健側のエコー画像は、白い線状で靱帯(前距腓靱帯)が観察できます。ですが、患側は白い線状が歪んでいて、さらに*マークのところで靱帯の断裂が確認でき、腫脹も見受けられます。
このような捻挫を放っておくと、靱帯が弛緩(緩む)して治癒したり靱帯の連続性が回復できないと、陳旧性損傷となり靭帯不全状態に陥ります。砂利道や不整地での不安定感、外側下がり斜面での不安定感などの障害が現れ、スポーツでは患側(痛めた側)を外側にしてカーブを走れない、フェイントで相手を振り切れないなどの障害につながります。それは、捻挫により足の協調性運動や感覚が劣ってしまっているからです。長時間立っていたり、長い距離歩くことが困難となり、足関節が不安定になってしまったことによる距骨の亜脱臼が繰り返されるため、内果と滑車内側の関節では高率に滑膜炎や軟骨損傷による痛みが起こります。これが慢性化(歳をとる)していくと骨に変形が出る変形性足関節症に移行していきます。
日常生活では、腓骨筋腱が長時間にわたり緊張を強いられるため、夕方になると下腿外側の腓骨筋に鈍痛が起こりやすくなります。

治療と予防受傷直後の処置が何よりも大切、運動療法で機能訓練

捻挫直後は損傷程度に関係なくRICE処置を行うことが大切です。
Rest(安静)、Icing(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)のことをいいます。
※冷却(アイシング)に関しては、保冷剤の使用は行わないようにして下さい。低温やけどの恐れがあるので、氷嚢で行いましょう。

手術療法と保存療法の臨床成績に差がないとの報告があり、損傷の程度にかかわらず保存療法が第一選択とされることが多くなってきています。
GradeⅠとGradeⅡの損傷ではサポーターによる固定を行います。痛みの程度に応じてはU字ギプス(取り外しのできるギプス)を行う場合もあります。
GradeⅢの損傷では、基本的にギプス固定を行いますが、受傷直後にアイシングと伸縮包帯などによる固定などの適切な応急処置がなされて腫脹が著明でなければ、直ちにギプスを用いて足関節を固定します。すでに腫脹が著明となってしまっていればシーネ固定の後、挙上とアイシングを指導し、1週間の松葉杖などによる非荷量を行います。
ギプス装着後は全荷量を許可しますが、1〜2週ごとに交換し、合計4週間の固定を行います。ギプス除去後はサポーターを用いて2週間程度の早歩きや軽いジョギングなどを行なってもらい、その後スポーツに復帰できます。定期的にエコー検査をするとともに、靱帯不全が遺残していないか注意深く診察することが大切です。
靱帯の状態が良好であっても、怪我をする前の足の感覚の劣りが生じます。運動神経、感覚神経ともに劣ります。その劣りを早期に改善するためには、ギプス着用下でも足趾を動かすことが重要です。固定除去後は足の裏の感覚を取り戻すため、足趾エクササイズやバランストレーニングなどを行い、協調性運動の促進を行なっていきます。以前の感覚を取り戻すためにはかなりの時間を要することが多いです。なので、運動療法は念入りに行わないといけないですし、捻挫癖の予防にもなります。

足首を捻ってしまった方は、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。