症状走ると膝の外側が痛くなる

膝関節の外側部の痛みが主訴になります。時に、痛めた膝関節より太もも側または、すね側に放散痛が生じることもあります。
安静時痛や夜間痛はなく、スポーツをすることにより痛みは増強します。悪化をするとまれに階段の上り下りなどの日常生活動作でも痛みが出現するようになります。

原因と病態腸脛靱帯が骨と擦り合わさって炎症を生じる

腸脛靭帯炎の発生機序は選手の競技特性に基づくことが多いとされています。
腸脛靭帯に対する伸張ストレスが増加するアライメントは『toe-in、踵骨回外、脛骨内旋、knee-out、内反膝』いわゆるO脚のような形の姿勢です。

また、ランニングによる腸脛靭帯炎はランニングコースの傾斜具合やシューズのソール部分の摩耗もチェックすることが大切です。すなわち、腸脛靭帯にストレスが加わる要因(上の図のような骨格)をもった選手が道路の右側を走ると右側に、左側を走ると左側に腸脛靭帯炎が発生しやすいということです。
腸脛靭帯炎が発育期に発生しやすい原因として、以下のことが考えられます。
急激に身長が伸びる発育期(小学生高学年〜高校生頃)には骨の長さは徐々に成長していきますが、筋や腱、靭帯などの軟部組織の発育は遅れる傾向にあります。骨とその他の軟部組織の発育のずれが生じる時期があります。その時期には、骨が急激に伸びるために、その他の軟部組織が強く張られて筋、腱、靭帯などが短縮する形となります。そのため、腸脛靭帯は大腿骨外側上顆の隆起部と摩擦しやすくなり、この時期に激しい運動を行うと腸脛靭帯炎を起こしやすくなります。

腸脛靭帯炎は大腿筋膜張筋およびその付着部である大腿骨大転子からはじまり、脛骨粗面のGerdy結節の外上方に付着しています。

大腿筋膜張筋および筋膜、靭帯の緊張が増加することにより、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆の骨隆起との間の過度の摩擦が原因となって起こる炎症が「腸脛靭帯炎」です。
長距離ランナーの1.6〜12%に発症するといわれていますが、ランニングを主体とした競技選手(陸上競技・サッカーなど)だけでなく、サイクリングやバレーボールやバスケットボール、ハンドボールなどといったジャンプ系の運動を行う選手、ウエイトリフターや陸上の投擲(とうてき)選手などのように重いバーベルを一気に持ち上げるようなトレーニングを多く行う選手にもみられる障害でもあります。

気を付けないといけない鑑別症状としては、外側半月板損傷、大腿骨外側顆軟骨損傷、膝蓋軟骨軟化症などの関節内病変や大腿二頭筋腱や膝窩筋腱の腱鞘炎、疲労骨折があげられます。これらの症状を判断するためにも当院ではエコー画像検査を行うこともあります。

治療と予防太もものケアをして炎症を軽減させ足底板療法を併用する

大半の場合は保存療法で軽快します。
治療の基本は、炎症を起こしている局所に対して炎症を抑える目的で微弱電流治療機器エレサス)を行います。また、緊張の高まっている腸脛靭帯および大腿筋膜張筋の緊張を低下させるためにマッサージやハイボルテージ治療も行う場合もあります。
オーバーユース(走りすぎなど)が明らかなときは練習量を減らすべきであり、痛みが強いときは2週間程度の安静を保つことも必要な場合が多いですが、当院で施術を受けている患者さんには今の運動レベルを落とさないように練習は続けてもらいます(症状に応じて)。
スポーツ活動(ランニングなど)が許可できるときは、外側ヒールウェッジを挿入し、踵骨回外を減少させる目的で足底板療法を行います。

また、練習量の増減、シューズの変更、アスフアルトやコンクリートなどの硬い路面を避ける、トラック走ではコーナ一走を避けたり、時計回りのランニングを導入するなどの走路変更を促す場合もあります。
腸脛靭帯の緊張を緩和させるためにストレッチも重要です。

上の図のようなストレッチを日々行う事が重要です。どのストレッチでも言えることは伸ばしたい筋肉が伸びていることが感じられたらそこで最低でも20秒間保持しましょう。2〜3回繰り返せれば尚良いです。

ランニングをしていて膝の外側が痛くなる場合は、腸脛靱帯炎が疑われるので、そのような症状がある方は大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。