症状妊娠中や出産後に股下や腰が痛い
骨盤は赤ちゃんが育つために大きく開き、産後はしばらく不安定な状態になります。その間は骨盤が歪みやすく、歪んだまま放置してしまうと、腰痛や股の下あたりの痛み(恥骨部痛)が出現する場合があります。腰痛・恥骨部痛は悪化するとぎっくり腰のような激痛を訴え、歩くこともままならなくなります。
恥骨とは、次の図の青く示したところで、骨盤の股の部分にあたる骨のことを言い、恥骨結合と呼ばれる部分で連結しています。
赤ちゃんが生まれてくるときには、「リラキシン」の影響で恥骨結合が開き、産後は徐々に閉じる仕組みになっています。この現象は、帝王切開でも同じです。リラキシンが作用すると、骨盤を支えている関節や靭帯、筋肉などが緩み、赤ちゃんの通り道が作られて無事に生まれてきます。
少しでも腰や恥骨に違和感を感じたら、早めに対処することが肝心です。
恥骨部痛は妊娠中にもみられ、臨月の場合は出産が近づいているしるしとも言われています。
原因と病態リラキシン作用で関節が緩む
恥骨部痛の発生は、妊娠中に分泌される女性ホルモンの1つであるリラキシンが原因であると考えられています。
「子宮弛緩因子」とも呼ばれるリラキシンは、分子量が約6000にも及ぶペプチドホルモンの1種で、主に卵巣や子宮、胎盤などから分泌されています。
数ある女性ホルモンは産後の骨盤に及ぼす影響は大きく、エストロゲンやプロゲステロンのみならずリラキシンにおいても産後数ヶ月間にわたりホルモンの作用が続くと言われています。
リラキシンが骨盤を緩める一番の理由は、骨盤を広げることによって出産をしやすくするためと言われています。ですが、通常は出産後の骨盤は徐々に元に戻りますが、出産後も自然に骨盤が戻らない状態になっていたり、骨盤が歪んだ状態になってしまっている場合には注意が必要です。そのままの状態で放置してしまうと骨盤が開いたままの状態で固まってしまうこともあります。なので、痛みがなくても一度診てもらう事が大切です。出産時の母親の体には様々な変化が起こっています。
産後の恥骨部痛が起きる原因としては2つのパターンが考えられます。
1つ目は、出産時に骨盤が開いていく際、恥骨結合が引っ張られて損傷する。
2つ目は、骨盤の歪みです。恥骨部に余計な負担がかかることになり、痛みが発生してしまうのです。
恥骨部痛は歩けないほど痛みを感じる場合もあります。産後は身体が妊娠前の状態に戻るまで一般的には約6~8週間と言われており、無理して動かないことが大切です。できる範囲でご家族の方の手を借りることをお勧めします。
治療と予防産後1ヶ月後からの産後骨盤矯正が有効
骨盤は自然に元に戻ろうとしますが、骨盤が開くときと同じようにいきなり戻るわけでありません。個人差はありますが、一般的には3~4ヶ月ほどかかります。
出産後に最もダメージが大きいと言われているのは、骨盤の底を支える「骨盤底筋」です。骨盤底筋は骨盤内の内臓を支える働きをしています。妊娠中は、重い胎盤、羊水、そして赤ちゃんの体重を骨盤の底で支えるので、骨盤底筋はどんどん伸びて弱くなっていきます。
また、お腹の筋肉の「腹直筋」にも影響があります。妊娠後期になると腹直筋は緩んで薄くなり、ほとんど機能しない状態になってしまいます。
腹直筋の筋力低下と共に、リラキシンによって、腹直筋の中心に走る「白線」という部分が緩んできます。すると腹直筋が2本に割れ、「腹直筋離開」を引き起こします。
これは赤ちゃんの成長に伴ってお腹が大きくなるために起こることで、妊娠女性の9割がなると言われています。これは産後に徐々に戻っていきますが、修復する前に腹筋を使う運動をしてしまうと元に戻らなくなってしまうこともあり、注意が必要です。
赤ちゃんの頭の向きによって、骨盤の上下左右の歪みに変化が出てきます。
タイプは3種類に分けられ、前傾タイプ、後傾タイプ、捻れタイプがあります。
このような骨盤のゆるみや歪みを矯正するために「骨盤ベルト」が一般的に用いられます。妊娠中から付けられる「産前・産後骨盤ベルト」と産後に装着する「産後骨盤ベルト(とこちゃんベルト)」があります。
骨盤が正しい位置に戻るのをサポートし、腰痛や恥骨部痛の予防につなげることができます。また産後骨盤矯正を受けることによって、骨盤の歪みを整えることができます。腰痛や恥骨部痛といった不調の解消のほか、太りにくく痩せやすくなる・姿勢が良くなる、などのメリットもあります。
ただしすぐに骨盤矯正を行うのは、産後1ヶ月目以降からになります。帝王切開の方にも適応です。
産後で股下(恥骨部)が痛かったり、腰痛がある場合は無理せず、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。