症状手関節が変形し腫れがひどい

手関節に強い痛みがあり、短時間のうちに腫れて来ます。怪我の仕方によって違いますが、手のひらをついて転んだあとでは食器のフォークを伏せて置いたような変形がみられます。
手がブラブラで力が入らず、反対側の手で支えなければ痛くてたまりません。時には、折れた骨や腫れによって神経が圧迫され指が痺れることもあります。

原因と病態転倒して手をついたら骨が折れた

手のひらをついて転倒したり、自転車やバイクに乗っていて転倒したときに、前腕の2本の骨(橈骨・尺骨)のうちの親指側の骨である橈骨が手関節のところ(遠位端)で折れる骨折を橈骨遠位端骨折といいます。


特に、閉経後の中年以降の女性(高齢者)では骨粗鬆症で骨が脆くなっているので、簡単に折れてしまいます。代表的な骨折は「橈骨遠位端骨折」「大腿骨頸部骨折」「脊椎圧迫骨折」「上腕骨外科頸骨折」があります。日本での橈骨遠位端骨折の年間発生率は、人口1万人あたり10.9〜14人であり、 性差は男性:女性=1:3.2であったと報告されています。
若い人でも高い所から転落して手をついたときや、交通事故などで強い外力が加わると起きます。子供では橈骨の骨端線(成長軟骨)のところで骨折が起きます。
いずれの場合も、前腕のもう一本の骨である尺骨の遠位端やその手前の部分が同時に折れる場合もあります。橈骨の手のひら側を走っている正中神経が、折れた骨や腫れで圧迫されると、母指から薬指の感覚が障害されます。

骨折の転位方向は、背側型が圧倒的に多く発生します。AO分類では関節外骨折である「A型」が54〜66%、部分関節内骨折である「B型」が9〜14%、完全関節内骨折である「C型」が25〜32%を占めます。「C型」は手術の適応となります。年齢とともにA型とC型の発生率は増加し、受傷外力が強くなるほどC型が増えますが、B型の発生に年齢や受傷外力の影響はみられません。また、有意にA型は女性、B型は男性に多く発生します 。

橈骨遠位端骨折の発生にかかわる危険因子としては高齢や女性、低体重、BMI低値、独居、グルココルチコイドの使用歴、骨粗鬆症や骨量減少、氷晶雨や路面の凍結、低気温といった気象、中手骨における骨皮質の多孔性や橈骨遠位端部の骨微細構造の劣化、血清ビタミンD低値、片脚起立時間が15秒未満、骨芽細胞分化にかかわるRUNX2の11A対立遺伝子を保有、テストステロン低値などが指摘されています。

治療と予防ギプス固定を4〜6週間(完治まで3ヶ月要す)

当院ではまずエコー検査を行います。エコー検査で骨折と判断ができた場合に手を指先の方向に引っ張って、ずれた骨片を元に戻す徒手整復術を行ないます。整復後、ギプスやギプスシーネで固定し、応急処置を行います。その後、提携病院へ行っていただきレントゲン検査を行います。病院の先生から骨折後の同意をもらい、当院で低出力パルス超音波(LIPUS)を1日20分、可能な限り行います。
引っ張る力をゆるめると骨片がずれてしまう場合や、手関節に面する骨片の一部がずれたままで整復出来ないものは手術が必要になります。
子供の骨折は、骨片の整復が不完全でも自家矯正力が旺盛で、骨の癒合も早いので通常手術を必要としません。
ギプスは、レントゲンの具合によって時期は左右しますが、約4〜6週間行います。ギプス着用中でも行える運動療法を実施し、筋萎縮を予防していきます。ギプスが除去できたら、可動域訓練や筋力増強訓練を行います。
完治にはおおよそ3ヶ月かかります。
※接骨院では、骨折や脱臼の応急処置をした後、病院の先生から同意(口頭でも可)もらわないと治療を継続することができません。

青壮年者では徒手整復・ギプス固定後のpalmar tiltは-10°未満かつulnar plus varianceは健側と比較し2mm以下の差異であればほぼ許容されます。 高齢者では許容される値は青壮年の基準値より大きいとされています。

橈骨遠位端骨折の70〜90%は保存療法が第一選択される事が多く、特に60歳以上に対しては有意に保存療法が選択されています。一方、手術療法が治療法全体に占める割合は20〜30%になっており、この割合には経年的な増加がみられます。

転倒をした際に手をつき、痛みと腫れが急に出てきた場合や変形がある場合は橈骨遠位端骨折が疑われます。当院でも徒手整復や応急処置(ギプス固定)も可能で、連携病院もありますので、大東市住道でお困りの方は、一度当院へご来院ください。
※急を要する場合は、診療時間外でも対応いたします。