症状股関節や下肢が痛い

主症状は殿部痛と大腿後面から下腿への放散痛とされています。痛みは坐骨神経の動的な絞扼性神経障害で起こるので、動作や肢位によって容易に変化しやすいのが特徴です。すなわち、しゃがみ込む動作で痛みの増強がみられたり、股関節を反った状態で下肢を内に捻ると痛みが強くなり、外に捻ると痛みが和らぐことがあります。歩行では痛みのため外旋位(ガニ股)で跛行(びっこ)を示したり、座っている時は痛みのため患側の殿部を浮かすような座り方をすることがあります。痺れなどの知覚異常は腓骨神経領域に訴えることがありますが、麻痺症状はみられないことが多いです。


梨状筋症候群は、坐骨神経が骨盤出口部で、何らかの原因により圧迫や刺激を受けて、殿部から下肢後面にかけて痛み神経痛)が起こっている状態と定義されています。

しかし、双子筋内閉鎖筋が坐骨神経の絞扼の原因であるという報告や、人工股関節置換術後の発生の報告、転位性腫瘍、ガングリオンなど、さまざまな原因が報告されています。 
明らかな骨傷などはなく、股関節痛や下肢痛(放散痛)が出現します。
①腰をかがめたり物を持ち上げた際の急な症状の悪化、牽引による症状の軽減
②仙腸関節、大坐骨切痕、梨状筋領域の圧痛と下肢への放散痛、そして歩行障害
③圧痛のある、ソーセージのように腫大した梨状筋
④ラセーグ徴候陽性
⑤殿筋の萎縮  
などがあげられます。

原因と病態坐骨神経が殿部で絞扼されている

梨状筋症候群は坐骨神経の絞扼性神経障害であり、腰椎椎間板ヘルニアなどの根性坐骨神経痛との鑑別が必要で、明らかな画像所見を伴わないことが多く、判断に苦慮することが多い疾患です。
骨盤出口部分は、梨状筋と坐骨神経を通している大坐骨孔は腸骨仙骨仙棘靱帯で強固に形成されています。

この部分における正常な空間と大きさの関係が動的又は静的に失われた状態が坐骨神経への何らかの圧迫を招いていると考えられます。
これらの発症要因は、
①外旋筋群と坐骨神経の解剖学的破格の存在
②梨状筋周囲の炎症(仙腸関節炎や滑膜炎等)又は腫瘍の存在
③後天的解剖学的異常(骨盤及び股関節の外傷や手術後等)の存在
④梨状筋腱性部分による圧迫
⑤運動負荷
に分類されます。

治療と予防手技による外旋六筋の柔軟性取得と、運動による可動域向上

①保存療法
治療法は、手術療法と同様の効果を手技療法や運動療法にて症状の寛解をすることであり、坐骨神経の除圧を目的として、深層外旋六筋(梨状筋・上双子筋・下双子筋・内閉鎖筋・外閉鎖筋・大腿方形筋)のリラクゼーションや股関節内・外旋の可動域訓練、坐骨神経の移動性の獲得癒着の剥離を期待して膝を伸ばして上がる角度(ラセーグ徴候陰性)の改善を行ないます。同時に温熱療法や電気治療も併用し、のちに運動療法へ切り替えていきます。ご自宅でも一人で簡単にできるボールマッサージの指導もさせて頂きます。
②手術療法
・梨状筋切開術
・神経剥離術
※保存的療法を約1~2ヶ月行い、症状の軽快しないものを手術適応とされています。

殿部から下肢後面の痺れでお悩みの方は、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。