症状股関節に体重がかかると痛みが生じる

変形性股関節症の主な初期症状は、歩行や荷重時の鼠径部(脚の付け根)の痛みと機能障害で、歩行後の股関節の鈍痛やだるさです。股関節は鼠径部にあるので、最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。関節症が進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ていても痛む)に悩まされることになり、しばしば大腿部、膝関節周辺、殿部、腰部へも痛みが放散するようになります。一方日常生活では、足の爪切りがやりにくくなったり、靴下が履きにくくなったり、和式トイレ使用正座が困難になります。また長い時間立ったり歩いたりすることがつらくなりますので、台所仕事などの主婦労働に支障を来たします。階段や車・バスの乗り降りも手すりが必要になります。末期に近づくと疼痛による逃避性被行(びっこ)が目立つようになり、股関節の夜間痛により睡眠も障害されます。 

原因と病態ほとんどが二次性で女性に多く発症

変形性股関節症は「一次性変形性股関節症」と「二次性変形性股関節症」とに区別されます。一次性は原因不明の変形性股関節症です。原因が同定できる場合、二次性変形性股関節症と呼ばれます。
女性に多く発症し、日本では80〜90%は原疾患に続発する二次性であり、原疾患としては先天性股関節亜脱臼や脱臼治療後の臼蓋形成不全による亜脱臼性股関節症が大部分です。ほかにペルテス病大腿骨頭すべり症大腿骨頭壊死症骨折などを起因としています。
変形性股関節症は、まず関節軟骨(硝子軟骨層)に線維化、亀裂、剥脱が発生し、関節裂隙が狭くなります。軟骨下骨には象牙質化が起こり、進行に伴って硬化した骨壁から成る骨嚢胞が形成されます。

関節の辺縁分では体重がかかりやすいため増殖反応が旺盛となり、血管増生を伴った骨棘が荷重面を拡大するように形成され、変形が進んでいきます。
最近は高齢社会となったため、特に明らかな原因となる病気に罹ったことが無くても、年齢とともに股関節症を発症することがあります。

変形性股関節症の確定診断は臼蓋形態はレントゲン画像で角度計測をしてする事ができます。
CE角、Sharp角で一般的に計測します。日本人では、CE角20°以下、Sharp角 45°以上で臼蓋形成不全となります。一方、欧米では、CE角25°以下、Sharp角45°以上が一般的といわれています。

治療と予防体重減少とジグリングが最も大切

関節は一生に一個しかありませんので、変形性股関節症と診断されたら、まず股関節にかかる負担を減らして愛護的にに使うということが大切になります。
初期段階であれば、どのような使い方をすると痛みが強くなるか良く自分自身の関節の調子を観察していただき、日常生活痛みが出ない使い方をよくマッチさせることが大切です。
痛み止めの薬を使うことも選択肢に入りますが、できれば調子の悪い時やどうしても負担をかけなければならない時に限定して服用をしたほうが良いです。またもし過体重があるようでしたらダイエット(運動や食事指導)をして股関節にかかる負担を根本的に軽減させることが必要です。
心理的抵抗がなければを使用し、股関節にかかる負担の軽減をオススメします。
一方、痛みがあるとどうしても歩かなくなり筋肉痩せてしまうので、浮遊力を利用した水中歩行や水泳(平泳ぎを除く)を週2〜3回行っていただくと理想的です。運動療法はその他の方法もありますが、運動療法はどうしても疼痛を誘発してしまう可能性がありますので、慎重に始めて徐々に強度を高めていくことがポイントです。

運動療法の一つとして、「ジグリング」という貧乏ゆすり様運動を股関節に行うことが大切です。貧乏ゆすり様運動はあまり宜しくない態度といわれますが、股関節にとっては最も大切な動きです。ジグリングを開始して2年で若干間隙の開大がみられ、4年後にははっきりとした間隙が確認できたと報告されています。70歳近い高齢者であってもリモデリングが期待できます。

これらの保存療法でも症状が取れない場合は手術療法が選択されます。

股関節が痛くて日常生活がしんどい方、病院に行っているが薬と湿布だけという方は、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。