症状膝の曲げ伸ばしでお皿の上が痛くなる

運動後や長時間立っていた後に膝に痛みが現れる事が多いです。膝の周囲に軽度の腫れがみられることもあります。痛みや違和感によって膝の曲げ伸ばしが制限されることがあります。
膝蓋骨が分裂して炎症が起き、ズキズキした痛みを伴います。 膝を曲げ伸ばしした際に膝蓋骨が大腿骨に押し付ける圧力や、大腿四頭筋の牽引力が加わって痛みが起こり、ジャンプなどを行って膝にかかる負担が増すと痛みが増強します。また、膝蓋骨を押さえると痛みが起こり、分裂部に一致したところに圧痛がみられます。

原因と病態大腿四頭筋の牽引力で膝蓋骨が分裂する

分製膝蓋骨は、オスグッド・シュラッター病と同様に、運動で膝の曲げ伸ばしを繰り返すことよって起こる成長期特有の骨端症です。発症時期は成長加速期に集中し、成長に伴う大腿四頭筋の緊張が病因と考えられています。
分裂膝蓋骨は通常、無症候性であることが多いですが、スポーツ活動などによるオーバーユースや外傷を契機として有痛性となり膝の障害をきたす場合があります。
有痛性分裂膝蓋骨は若年者のスポーツ障害として知られており、発生頻度は2%未満で、男女比は3:1で10〜12歳の男子に多いといわれています。
膝蓋骨が骨化する過程やその形態は、大腿四頭筋の力学的環境により強く影響を受けています。膝蓋骨の形状から外側広筋の過緊張による成長軟骨損傷が病因で、長期経過より数骨部の拡大が確認され、症状は軟骨剥離部の不安定性が要因と考えられています。


一般的な分類として、分裂骨片の位置によりタイプ別に分けるSaupe分類が用いられます。

主に、膝蓋骨下端部に骨片を有するⅠ型、膝蓋骨外側部に骨片を有するⅡ型、膝蓋骨外上方部に骨片を有するⅢ型が知られていますが、これらの発生率はⅠ型5%、Ⅱ型20%、Ⅲ型75%とされ、Ⅰ型、Ⅱ型は比較的稀です。その背景には、外側近位部が副骨化核の多発部位であることや、外側広筋の付着部位であること、さらに血行供給量の低下が関連しているとされています。
エコー検査やレントゲン検査では、このような感じで確認できます。※Saupe Ⅲ型の画像です。


膝蓋骨は中心部から発生していき、次の図のような過程で成長していきます。

膝蓋骨化骨核(ステージ0〜10)※上記の図は側面像
0:化骨核未出現
1:化骨核点状陰影として出現
2:関節面において、びまん性に骨化が起こる
3:前面の骨化が進行し、関節面と下縁との区別が可能となる
4:関節面と下縁とのなす角が明白になり、約120°の角を呈する
5:前面・関節面・上面・下面の4面が明白に認められるようになる
6:上面・下面が対称的になり、側面像で平行四辺形を呈するようになる
7:下面が凹んできて、平行四辺形の形態が崩れてくる
8:関節面が波形を呈し、前面が突出してくる
9:上面も突出してきて、同時に前面の突出も前段階より著明となり完成型に近づく
10:成人型に完成
5歳時:男子は1〜3、女子は3に相当
12歳時:男子は7〜9、女子は8〜9に相当
膝蓋骨についてはレントゲン写真上の位置的関係より、主として側面像を読影の基準とし、他の骨端核については正確な側面像を得ることが困難なために、主として前後像を補助的に側面像を読影の基準として利用する。

治療と予防痛みがある場合はギプス固定後にLIPUSが有効

有痛性分裂膝蓋骨はスポーツ休止リハビリを中心とした保存療法が第1選択されます。しかし、有痛性分裂膝蓋骨の治療は、スポーツ休止やリハビリを中心とした保存的治療が原則であるが、分離部の骨癒合は必ずしも得られる訳ではありません。
分裂膝蓋骨の発生機序とされる、繰り返しの膝伸展力をギプス固定により限りなく制限することが早期骨癒合に有利に働くと考えられています。特に、6 歳から14 歳という若年者に対してギプス固定は有効であったと報告されています。また、骨癒合した例では全例で疼痛が消失したと報告されており、積極的に骨癒合を目指すのが望ましいとされています。
ギプス固定は、おおよそ1週間から2週間程度行い、その後は膝蓋骨サポーターに移行します。サポーターに移行した時点で、LIPUS(低出力パルス超音波)を行い、順に大腿四頭筋やハムストリングスのスチレッチを行っていきます。
治療期間は数ヶ月から数年にも及ぶ場合もあり、疼痛が強くスポーツ活動が長期間制限される例に対しては手術が選択される場合もありますので、早期発見・早期治療が何よりも大切になります。

このように、スポーツをしていて膝のお皿の痛みが生じた場合には、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。