
症状ボールを投げると肘の外側(やや中)が痛い
上腕骨小頭離断性骨軟骨炎は、主に野球や体操などで肘を繰り返し使う10〜15歳前後の成長期の子どもに多いスポーツ障害です。
肘を過使用するスポーツを行っている選手がほとんどで、スポーツの種類は少年野球選手(投手・2〜3%)が大半を占めます。その他ハンドボール、砲丸投げ、バスケットボール、剣道、体操などの例もあります。
主な自覚症状は以下のようになります。
① 肘の外側の痛み
・ボールを投げると肘の外側が痛い
・投球後にズキズキする
・最初は投球時のみ、進行すると日常生活でも痛みが出ることがあります。
② 肘が伸びない・曲がらない
・肘を完全に伸ばせない(伸展制限)
・深く曲げられない(屈曲制限)
・肘の中で何かが引っかかる感じがある
③ 投球速度やコントロールの低下
・球速が落ちる
・思うように投げられない
・肘をかばってフォームが崩れる
④ 肘の腫れ
・病変が進行すると肘に腫れや熱感が出ることがあります。
⑤ ロッキング症状(進行例)
・「カクッ」と引っかかる感じ
・肘が急に動かなくなる
・関節内に遊離体(関節ねずみ)ができると起こります。
原因と病態肘の軟骨とその下の骨が傷んで剥がれてしまう
最も多い原因は、繰り返しの投球動作です。投球時、肘には非常に大きな力が加わります。
肘の内側には靱帯や筋肉などで引っ張られる力(牽引力)が働き、肘の外側には押しつぶされる力(圧迫力)が働いています。この圧迫力が、上腕骨小頭と橈骨頭の間に繰り返しかかることで、軟骨や骨にダメージが蓄積します。
生まれつき関節が柔らかい(肘関節が過伸展したり猿手になったり)方に起こりやすい傾向にあります。
特に、投球数が多い、投げすぎ、休養不足、変化球の多投、不良な投球フォームなどがリスクを高めます。


エコー画像

レントゲン画像
成長期特有の血流の弱さにも関係があると言われています。上腕骨小頭の成長軟骨は血流が少なく、損傷すると回復しにくい特徴があります。繰り返しの圧迫によって血流障害が起こり、骨への栄養が不足 → 骨が壊死 → 軟骨下骨が脆くなる、という流れで病変が進行します。


身体の硬さや機能低下の多いに関係しています。発症リスクに関しては次のようになります。
- 肩関節の可動域低下
- 胸椎の硬さ
- 股関節の硬さ
- 下半身の筋力不足
- 肩甲骨の機能低下
全身を使えないフォームになると、肘への負担が増加します。
治療と予防手術しないのであれば初めの3ヶ月が勝負
まず最初は保存療法を行います(初期もしくは骨端線が残存し、可動域制限がない場合)。
上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の関節片の分離を抑制する(守る)だけではなく、より積極的に安定化を促進する(攻める)ことを目的として、ギプス固定を選択します。ギプス固定はまずは1ヶ月行い、その後はギプスサンド固定(取り外しできるギプス)に変更し再度1ヶ月固定。その後はギプスシャーレ固定(ギプスの下請け部分のみ)でさらに1ヶ月固定を行います。ギプスシャーレ固定になったところから入浴時に前腕や肘関節を動かして可動域訓練を行います。この3ヶ月間は慎重に外固定を行うことが大切とされています。
当院では、固定をして様子をみるだけではなく、患部の部分をギプスカットをして有窓にして低出力パルス超音波(LIPUS)を行って骨形成を促進させたり、微弱電流治療機器(エレサス)を全身に通電して、体の免疫力をアップさせて、骨癒合を促進させたりできます。


上腕骨小頭離断性骨軟骨炎は一般的な骨折治療の2〜3倍の外固定期間になりますが、この3ヶ月が勝負になります。それでも骨の形成に促進がみられなければ手術が選択されます。また治療経過中でのこれまでの罹病期間、そしてスポーツを抑制されていることへのストレスなど、個々の患者さんの精神状態を考慮した上では早期の手術も適用する場合もあります。また、分離型の重症例(分離期の後期型)で軟骨下骨がほぼ遊離しかかっている場合や、遊離体がすでに存在している場合には早期に手術が行われます。
上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)は、痛みが出た時にはかなり進行しています。
痛みがない時にはなかなか医療機関(接骨院・整骨院)には行かないとは思いますが、我が子のために無症状でも定期的な野球肘検診をエコー検査で診てもらう事が大切になります。
当院では超音波エコー検査を行う事ができますので、お気軽にお問い合わせください。