症状走っていたらすねの下が痛くなった
シンスプリントとは “過労性脛部痛” のことであり、一般に運動に伴って発症する脛骨の中1/3〜下1/3の内側後縁に沿った疼痛を主訴とするスポーツ障害です。
一方、 “疲労骨折”とは比較的軽微な外力が繰り返し加わることによって、骨の疲労現象をきたし、骨皮質、海綿骨、骨梁の組織結合の中断・断裂、骨膜反応が生じ、さらには明らかな骨折に至る一連の変化に対する名称です。脛骨に発生する疲労骨折のうち、脛骨の中下1/3部の内側後方に発生する疾走型疲労骨折は、臨床症状からはシンスプリントと鑑別がつきにくいこともあります。これらは脛骨過労性障害、特にシンスプリントと疲労骨折の早期診断・鑑別を行うことは、スポーツ選手に対するスポーツ活動復帰時期を決定するうえで非常に重要になります。
原因と病態足のつき方で脛骨に捻り作用が働き骨膜が炎症を起こす
発生タイプは「回内足タイプ」と「回外足タイプ」の2パターンに分けられます。
「回内足タイプ」の疼痛は、踵骨の回内接地に伴う内側縦アーチの低下によって、「ヒラメ筋」や「後脛骨筋」が過伸張や過収縮することが原因で生じます。特徴的な所見としては、脛骨内側中下1/3のやや広い範囲での圧痛や、ヒラメ筋、後脛骨筋を中心とした下腿後面筋の圧痛があげられます。
「回外足タイプ」の疼痛は、踵骨の回外接地により下腿が外旋強制を受けるなかで、膝を含めた脛骨上部は内旋されるため、脛骨に対して捻れのストレスが起こることで生じると考えられています。
シンスプリントの単純X線像(レントゲン)では、一般に特異な所見は認められません。疲労骨折では発症初期には骨折線が認められないことが多く、シンスプリントと疲労骨折の鑑別は困難です。疲労骨折では、時間と共に骨膜反応がみられ、やがて骨膜仮骨、皮質肥厚となり、硬化像も著明となります。
また、MRI画像では、骨膜病変、骨髄内病変と皮質骨を合めた領域の詳細な解剖学的評価が可能であり、脛骨の骨膜浮腫、骨髄浮腫、骨折線などの判別が可能となります。
当院に導入しているエコーでも判断が可能になります。
※エコー検査にて、疲労骨折が疑わしい場合は、連携している病院へご紹介致します。
治療と予防足底板療法と運動療法が有効
回内足タイプの場合は、回内接地後、内側縦アーチ(土踏まず)が低下しているケースが多いため、踵骨の直立化および内側縦アーチの保持を目的に足底挿板処置を行います。
回外足タイプの場合は、回外接地とともに下腿の外旋強制が確認されやすく、踵が離れた後に足関節が内側へのスライドが認められるケースが多いです。踵骨の直立化と下腿の内旋誘導を目的に足底挿板処置を行います。後足部アライメントと症状発現には強い因果関係が存在するので、2つのタイプに対して適切な足底挿板を作製することが大切です。
また、足底板療法と並行して運動療法を行うことが何よりも大切です。運動療法は足の機能改善はもちろんですが、足以外にも股関節や膝関節(太もも)のトレーニングを行い、膝が歩いている時に内に入ったり、外に割れたりしないように行っていきます。
走っていて「すね」が痛くなってしまった方は早めの判断が鍵となりますので、大東市住道にある当院へ一度ご来院ください。